解雇と問題社員対策

問題社員に困っている経営者様へ

解雇と問題社員対策・弁護士から一言

会社の組織の中には、どうしても、一定割合で、いわゆる問題社員が入りこんできます。

一番やっかいなのが、囲りや上司、部下と衝突を繰り返す社員が問題社員です。

 同僚や部下にセクハラやパワハラを繰り返し行う。

 自己主張が強く上司に反抗的である。

 遅刻や欠勤を繰り返す。

 仕事にやる気がなく、万事がなげやりであり周囲が迷惑している。

 周囲と協調して仕事ができない。

 精神的に不安定である。

共通点は、自分の問題性を認識しておらず、悪いのは周囲だと思いこんでいることです。

また、仕事ができず、周囲の足をひっぱる従業員もいます。

これらの社員を放置すると、その社員から組織全体の疲弊が始まります。問題社員がいるかぎり、有能な社員はドンドン辞め、問題社員だけが残り、ついには組織が弱体化して同業他社との競争に破れ倒産に追い込まれます。

しかし、終身雇用制度が崩壊し、労働が流動的になった今でも、社員の解雇は、なかなか認められません。英米的な転職型企業でも、同様です。


解雇と問題社員対策Q&A

知りたい をクリックしてください。

 従業員は、どういう場合に解雇できますか
 ①客観的に合理的な理由があり②かつ相当性があることです。
労働契約法16条は、①客観的に合理的な理由があることのほか、さらに、②解雇が社会的に見て相当な場合に限定しています。
したがって、解雇に合理的な理由があっても、相当でない場合は、解雇が無効になります。ただ、解雇に合理性があるが相当でない場合というのは、実務上、ほとんどありません。
従業員を解雇できる「客観的に合理的な理由」とは、どういう場合ですか
①能力・適格性の欠如、②規律違反、③経営上の必用性です。
このうち、問題社員の解雇は、①能力・適格性の欠如か②規律違反になります。
しかし、このハードルはかなり高く、周囲の人間に嫌われているとか、一番成績が悪いという理由では、なかなか解雇できません。
従業員Aは経理部に配属したものの、ミスが多く、とても使い物になりません。 解雇できますか
解雇回避の措置を尽くしても、なお、著しく劣り、回復の見込みがないときは、解雇できます。
ほとんどの就業規則では、能力不足を理由とする解雇を認めていますが、単に一番査定が低いというだけでは能力がないとは言えません。客観的に、企業経営に支障を生ずるなど、企業から排斥すべき程度であることが必用と言われています。
また、他にも部署が複数ある場合は、配置転換をしたり、教育訓練をしたりする等、解雇回避の努力をして、それでもなお、能力不足だというレベルで解雇できます。
ただ、大企業に較べて体力に余裕のない零細企業では、配置転換しようにも、そんな部署はないし、教育訓練といっても、そんな体制も資金的な余裕もないので、大企業よりは、ある程度、解雇回避義務は緩やかに認定されます。
会社の業務に適さない人材を抱え込んでしまうと、その会社の競争力は減少し、やがては有能な人材ほど、別の会社にいってしまうという事態になるおそれがありますが、今のところ、解雇は厳しいということです。
即戦力として中途採用した社員が、期待外れです。解雇できますか?
解雇できる場合もあります。
企業が事業拡大をするなかで、有能と思われる人材を中途採用する場合が結構あります。 しかし、採用してみたものの期待はずれの場合、裁判所は、ある程度緩やかに解雇を認める傾向にあります。
ポイントは、採用後、まもなく解雇されたか、他の従業員との収入の比較等が重視されます。判例も、その点を意識して、解雇権乱用の法理を、職種によっては、かなり緩和しています。
解雇を認めた判例

(1)フォード自動車事件
人事本部長として中途採用されたが、採用後約10ヶ月後に能力不足を理由として解雇←解雇有効(東京地裁S57・2・25)。人事本部長として採用された以上、その地位にふさわしい能力があるか否かで判断し、他の職種への転換は考慮する必要はない。

(2)ヒロセ電気事件
語学力と品質管理の能力を備えた即戦力として採用したが、採用後約4ヶ月半後に能力不足を理由として解雇←解雇有効(東京地裁H14・・10・22)。長期雇用を前提とする新卒採用とは異なる。
解雇を否定した判例

(3)ブルームバーク事件
記者として中途採用したが、採用後約4年9ヶ月半後に能力不足を理由として解雇←解雇無効(東京地裁H24・10・5)。職務能力がないとは言えない。 1,2の判決と3の判決をわけたものは、採用後、どの程度の期間を経て解雇したかです。 解雇するには、一応、改善措置が必要とされますが、あまり熱心に改善措置をしすぎて事件が経過すると逆に解雇が難しくなります。
個人的な原因でけがを負った従業員を解雇したいのですが、できますか
回復のための期間を十分に与えても回復が見込めない場合は、解雇できます。
業務が原因の場合は、労働基準法19条に従うことになりますが、私傷病の場合は、就業規則の定めによることになります。
通常、就業規則には休業期間の記載があり、この期間中に回復しなければ解雇できます。ただ、問題は「回復」といえるかで
① 使用者として、できる限り、勤務軽減を行い、段階的に職場復帰の努力をした。
② それでも、休業前の状態に回復していない。
という条件が必要です。結構、厳しいですね。
従業員Aは、家庭内の不和から鬱病になり、欠勤が多く、出勤していてもボーとしていて 仕事をしていません。解雇できますか?
ケースバイケースです。
最近、特に増えているケースです。メンタルが不調な従業員が一人いると、本人も大変ですが、中小の会社なども、経営に重大な支障を来し、倒産の引き金となります。しかし、経営者側は、簡単には解雇できず、①休職期間を経ても職務復帰が不可能なことのほか、②職務復帰に際し、できるだけ尽力したことも証明しないと解雇できません。
①については、医師の診断書が必用になりますが、労働者側も別の診断書を提出して争うことが多いです。②については、どの程度、配慮すべきかは、会社の規模や従業員の状態等を総合的に判断するので、ケースバイケースです。